親子上場の問題点が指摘され解消の動きが顕著です。親子上場が解消される過程で親会社はTOBを実施して子会社を非上場化しますが、その時は現在の株価にプレミアムを付けるのが普通になっています。先回りで買っておくのがもっと利益が出ますが、いつTOBされるかわからない、そもそもTOBされないかもしれない銘柄を保有し続けるのにはリスクもあります。そこで今回はTOB発表後に買っても儲けを出す方法を解説していきます。
TOBとは?
TOB=株式公開買付けであり、ある株式会社の株式の買付けを、「買付け期間・買取り株数・価格」を公告し、不特定多数の株主から株式市場外で株式等を買い集める制度のことである。
狙うべきTOBの種類
買付者はいろいろな思惑があり、どのくらいの株式を集めたいか決めています。
1/3なら重大な決定事項を拒否できる
1/2なら役員を好きに決められる
2/3なら解散・合併など好きに決められる
全株なら完全子会社になり誰からも文句を言われない
全株取得を目指すTOBが今回狙うべきものになります。
スクイーズアウトとは?
TOBを実施したとしても反対者もいるし、そもそもTOBが行われていることを知らない人さえいます。従ってTOBだけ全ての株式を買い付ける事はほぼ不可能なのです。そのような問題点を解決するために2005年(平成17年)の会社法制定により強制的に株式を取得することが出来るようになりました。
このように少数株主を排除して強制的に株式を取得することをスクイーズアウトと言います。
どうやって儲けるの?
全株取得目的のTOBが発表されるとほとんどの場合、買付価格に限りなく近づきますのでそこで買ってもほとんど利益が出ません。それではどうやったら儲かるのでしょうか?
1、TOB期間中は買わない
2、TOB期間後~上場廃止までの間で安くなった所で買う
3、上場廃止後にTOB価格で強制的に買い取られるのを待つ
たったこれだけの単純なステップである程度の利回りをローリスクで達成できます。しかもTOBと違って不成立になるリスクはありません。
具体例
2019年12月26日にJ.フロントリテイリングがパルコを1株1,850円でTOBすることを発表しました。その日の終値が1,339円だったので約38%のプレミアムが付いています。
翌日の12月27日はストップ高の1,678円、その翌日12月30日の終値は1,845円で、たった0.27%しか利益が出ないところまで上がってしまいました。
その後TOB期間終了の2020年2月17日までの間の安値は1,845円でしたので、いつ買っても利益がほとんど出ない状態でした。しかし、上場廃止前日の3月16日に1,829円、上場廃止当日の3月17日に1,828円の安値を付けました。ここで買えば1.2%の利回りを確保できます。
上場廃止までホールドした方には4月末にスクイーズアウトの通知が来ているようです。上場廃止から1月半で完了したので1.2%×12/1.5ヶ月=9.6%の年利になります。ほぼ確実にこれだけの利回りを確保出来るのでやる価値はあるのではないでしょうか。
参考にTOB発表から上場廃止日までの価格を載せておきます。
まとめ
このスクイーズアウト戦略で大儲けすることは出来ませんが、ある程度の利回りを確保できるローリスクミドルリターン戦略です。TOBを上手く渡り歩けばそれだけでかなりの利回りを確保出来るのではないでしょうか?
ただし、上場廃止後は企業のHPに情報が載らなくなります。さらにいつ強制的に買い取られるかも確定していません。このようなリスクを理解したうえで無理の無い範囲で資金を投入するのも面白いかも知れません。
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